古民家の梁(はり)や台所をそのまま生かした、古民家カフェらしいたたずまい。東京の店から持ち込んだ椅子も似合う。
時間とお金に追われず、ていねいに暮らし
ゆっくりと人と関わっていたい??。
そう思っていたら自然と山梨にたどり着きました。
3年前まで、東京郊外でネパールカレーの店を営んでいた吉田さん。「シェフの給料と家賃をまかなうために、店の営業はもちろん、デリバリーやイベント出店にと、忙しすぎる毎日でした」
夫婦で休みなく働き、娯楽もない日々。癒やしといえば、イベント先で出会う自然。特に、山梨県の風景に慰められ、「勝沼や甲府あたりなら、自宅から車で1時間半ほど。渋滞のなか都心に出るより早いのに、緑が豊富で山も見えて。心の底からほっとできました」
山梨県にカフェをもちたいと思いはじめたころ、インターネットでこの古民家に出会います。
「長らく空き家状態のこの家を再生してほしい、というメッセージにひかれました。片づけや修繕に時間がかかりましたが、電気工事士の夫が1年間かけてリフォームして、開店したんです」
今は東京の店を引き払い、この甲州街道沿いの宿場町で、ゆったりとお客さまを待つ生活。
「収入は減ったけれど、家賃は安いし、暖房やお風呂は薪だから、光熱費も安い。新鮮な地場野菜を使ったカレーでおもてなしできるこの環境で働く今の自分が、いちばん自分らしく思えます」
都会での飲食業に疲れ甲州街道の宿場町へ。
カフェと国際交流の宿を自分らしく
近辺がかつて街道の宿場町として栄えたことにあやかり、カフェだけでなく、宿泊施設としても準備中。宿泊客に作業を援助してもらうことで、会員が無料宿泊できるシステムのホストとして、海外からの観光客も受け入れる。築270年の日本家屋ですごす体験に、人気が集まりそう。
新鮮な食材に恵まれていることも山梨で暮らす喜びにつながって
ネパール人シェフ直伝のカレーを手作りで提供。「季節ごとに収穫される山梨県の地場野菜をふんだんに使っています」。平日の調理やもてなしは吉田さんが担当。ご主人は別の仕事をもち、週末に合流。東京と行ったり来たりの二地域居住をしながら、自分たちらしい暮らしを満喫。
甲州街道筋の宿場の面影を残す外観。のれんをくぐると土間、その右側が、靴を脱いで上がる席のカフェに。
雑貨や時計はこの空間に映えるものばかり。吉田さんが選んだ。
カフェらしいフレンチ雑貨も、実は古民家には似合う。
テーブル席の隣は畳の和室。小さな子ども連れのお客さまのために、チャイルドチェアやおもちゃを常備して。
地元の人にならって干し柿も作る。
カレー1種類とライス&ナンのセットは1350円。季節によりスープとデザートをサービス。
山梨県甲州市大和町日影49
TEL 0553-48-2555 (営)10:00~20:00 木曜休
http://daikokuya-sangam.on.omisenomikata.jp/
急須と茶碗を描いた看板が甲州街道からの目印。
果物が豊富な山梨県だからこそ「シロップ漬けも楽しい」。
吹き抜けの脇、2階の席は冬でも意外と暖かく、夏は 涼しい風が通り抜けるそう。
地場野菜は無農薬中心。「カレーの具に10種類近く使います」。柿やブドウなどの果物は、デザートのほかカレーの味つけにも。
ニンニクや梅を漬けて瓶に保存し、料理に活用。地球儀は海外から来るお客さまとの会話のきっかけに。
暖炉の上の鍋でコトコト煮た滋味深いスープが評判。